2015.02.28更新


平成27年2月25日

皆さんお早うございます。
本日は御卒業誠におめでとうございます。衷心より御祝い申し上げます。
又、今日に至る迄長い間、教職員の皆様方、御父兄の皆様方並びに関係各位の皆様方本当に御苦労様でございました。高い席からではございますが心より御喜び申し上げます。
私は平成23年度より兵庫工業倶楽部理事長の大役を仰せつかっております 高校18回化学科を卒業致しました冨金原伸伍でございます。
我が「県工」は明治35年11月、兵庫県立工業高校として建築、機械の2学科、生徒数65名をもって開校致しました。
その後明治42年電気科、大正6年応用化学科、大正10年土木科、戦後は学制改革により現在の兵庫県立兵庫工業高等学校となりました。更に時代の変遷に対応するべく、昭和33年デザイン科、34年電子科、62年には情報技術科を新設し現在では8学科、960名を有する全国でも有数なる工業高校として発展し君臨して参りました。
又、兵庫工業倶楽部は母校の発展と共に卒業者総数は33,511名からなる大同窓会であります。
組織的には8つの各科別同窓会、10の地方支部、多数の勤務先兵工会が存在しております。
このように113年の輝ける伝統と歴史に支えられた兵庫工業倶楽部同窓会に、本日御卒業の283名の方々が御入会して頂ける事心より嬉しく、又心強く思います。
皆さん方は今日県工を巣立って行かれます。長いようでも振り返ってみれば、あっという間の3年間であったであろうと思います。
勉学に勤しんだ者、汗をかき体を鍛えスポーツに励んだ者、又、文化活動等に心血を注いだ者、其々の過ごし方があり三年間があったと思います。想い出が一杯詰まった校庭に校舎に、燦々と降り注ぐ太陽に青空に風に、その時々の時物に、風情に、さようならと云って巣立って行く君達に大きな拍手を送りたい。
これからの国を背負って行く君達に大きなエールを送りたい。
人間到る処青山あり、故郷を出て大いに活躍すべきであるとの意味であります。今日、県工を巣立ち地球を狭しと大いに活躍して欲しく思います。曾て貴方々の諸先輩達がしてきたように。
今少し県工の生い立ちを考察してみましょう。
明治元年1868年9月8日、270年余に及んだ幕藩体制が終焉を迎え封建制から日本資本主義形成を樹立するべく明治政府が成立致しました。
最大の目的は欧米列強下に屈する事なく彼等に追いつき追い越せの号令一下、五千万有余の国民は一つの目的の為に一丸となり、火の玉となって突き進み国力を高め一等国入りを目指しました。
開国後僅か20年余ともなれば軍艦からマッチに至る迄、全てが国産化されました。
これは他の亜細亜諸国が為す術もなく植民地化されていったのとは真逆の道を歩んだという事になります。
それは日本人の人的質の高さ故という処に帰結するでしょう。
此の様な中にあって県工は産声を挙げました。日本は科学工業立国として、世界と対峙し、又、凌駕していこうという壮大な夢を現実と化する為に県下より優秀なる若人を集めてその目的の為に邁進して来ました。
祖国発展の為、113年間貢献してきた事は紛れもない事実であります。
日清、日露両戦争で勝利に沸き酔い痴れた時代、大東亜戦争敗戦により多くのものを失い、途方に暮れ曾て経験した事のない古今未曾有の困難に遭遇した時代もありましたが、その度に人的資源に恵まれた我が国は不死鳥の如く甦り幾多の困難をも物ともせず克服して参りました。近代化日本を目指して146年余経た今日、我々の目指してきた目的は、ほぼ達成されてきたのではないかと思えるような錯覚さえ覚える今日此頃であります。
医療にあっては最先端医療や高度医療機器が進む中、世界をリードするのは再生医療分野としての人工多能性幹細胞(IPS細胞)、エボラ出血熱対策としての医薬品「アビガン」等は目下、世界から注視されている処であります。
高速鉄道新幹線は開業以来50年余の間、乗車中の利用者の死亡事故ゼロを続ける安全性と一列車当りの平均遅延時間は1分未満を実現する断トツの技術力で挑んでおり自然災害がなければ殆ど遅延がなく、安全性と技術力は世界一であります。
平成39年度に開業予定のリニア中央新幹線は、現在運行中の中国は上海エリアの難易度の低い常電導方式による浮上1cm程度のリニアモーターではなく、日本が目指す超電動リニアモーターは10cm迄浮上させるものであり、より高い浮上はそれだけ安全性が高いといわれております。
理化学研究所と富士通が共同で開発したスーパーコンピューターについては「京」を実現し、世界第1位の計算速度を目指しており、
ロボット産業についてはパワードスーツを装着する事により重労働を軽減できるようになってきました。
ロケット産業にあってはH2Aロケットに代りH3ロケットが開発中であります。H2Aは皆さんもよくご存知の小惑星探査機「はやぶさ」の打ち上げ成功で連続20回に伸ばし、成功率は96.1%で世界最高水準を誇っております。又H3ロケットの打ち上げ能力はH2Aの2倍に増強、打ち上げ費用は半額の50億円を目指しており、打ち上げ能力は7tにもなり、パワーと低コストへの戦いに挑んでおります。
飛行機にありましてはYS-11以来実に40年ぶりの国産旅客機となるMRJが注目を浴びており、三菱リージョナルジェットがその正式名ですが中型ジェットとして世界の空を結ぶ予定であります。
世界需要5000機中その半分の2500機をMRJとしたいと三菱は意気込んでおり頼もしい限りであります。
自動車にあっては究極のエコカーFCVがいよいよ登場して参りました。水素を使い燃料電池で発電しモーターを駆動するもので排出するものは水のみであり、嘗ては1億円かかったものが今では500万円で出来るとの事であります。
他方クールジャパンの面では日本のウイスキーが世界の三大ウイスキーの一つとして数えられるようになり「世界のウイスキーアワード」で2度の世界最高賞を受賞しております。
日本の和紙も嘗てはレンブラント、ピカソやシャガール達が版画作製に好んで和紙を使ったことはよく知られております。そして今も和紙は世界中のアーティスト達に選ばれており、ユネスコ世界無形文化遺産の対象になった細川紙が名を馳せております。
和食もユネスコ世界無形文化遺産に選ばれたのはもう皆さん周知の通りであります。
今ここで取り上げたこれらの事はほんの一部であり、その潜在的数たるや枚挙に遑がありません。
このように世界へ向って躍進する日本の科学技術及びクールジャパンと称する日本文化の発信基地として、世界が認める日本、ハードとソフトの両面作戦で世界に影響する我が国を誇り高く思います。
然し乍ら懸念材料も多々あるのも看過する訳にはいきません。
陽の当る処ばかりが日本ではありません。少子高齢化で人口が毎年10万人以上減少し続けており、このまま行けば10年後には神戸市の人口がすっぽりと日本から無くなってしまいます。
高度成長期以来都市化が進み国民の食料を支える農地が荒廃して久しく、減反政策が進み今や40万haが休耕田と化しており、その面積たるや埼玉県の広さに匹敵するといわれております。
食糧自給率は39%にまで下落しており食糧安全保障面からみるなれば日本を潰すのに武器はいらない、食糧を禁輸すればよいという事になります。又その食料たるやキュウリ1本を取ってみても出荷される迄に74回も農薬を掛けて作るという事を聞いて唖然としてしまいました。多かれ少なかれ総てがこのような事ですから、我々の口に入るものは総じて危険極まりない物ばかりといっても過言ではないように思います。それが証拠に1億総半病人国家の体をなしている事実であります。これだけ医療が発達しているにも拘わらず病人の数が増えても減らないという現実が、この事実をよく物語っております。
医療が病気を治すのではなく医療は飽く迄も補助的なものでしかないという事に気づくべきであります。
私達の体は免疫力とか抵抗力とか自然治癒能力で回復していくものであり、「医食同源」とはこの事をよく言い表しております。摂取した食物が血となり肉となる、良きものを食すれば 自ずと健康な体が保障され悪しきものを食すれば体は弱体化していきます。
今や国家の運営費に匹敵する額が医療費に費やされております。
一昨年の医療費は因みに39.2兆円でありました。国を支えるのは飽く迄も国民であり健全なる国民が住む国は国家安泰であり豊であると思います。
これからの我々の進むべき道は科学技術の構築と共に安全なる食の供給に心を割くべきであります。
県工健児よ県工魂でこの国が豊か葦原瑞穂の国として世界が羨むような眩しく輝く国となるように専念していただけるよう切に祈念致しまして私からの祝辞に替えさせて頂きます。
本日は誠におめでとうございます。



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