2015.04.08更新

平成27年4月8日

皆さん本日は御入学誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
寒さ厳しき冬は去り学舎に校庭に春光は眩しく輝き皆さん方を優しく力強く御迎えいたしております。
今日に至る迄御父兄の皆様方に於かれましては大変御苦労様でございました。
貴方方は立派に御子息を御養育されました。この百有余年の歴史ある県工に入学された事は紛れもなく、その事実を物語っております。
私は平成23年度より兵庫工業倶楽部理事長の大役を仰せつかっております高校18回化学科を卒業致しました冨金原伸伍でございます。
我が「県工」は明治35年11月、兵庫県立工業高校として建築、機械の2学科、生徒数65名をもって開校致しました。
その後明治42年電気科、大正6年応用化学科、大正10年土木科、戦後は学制改革により現在の兵庫県立兵庫工業高等学校となりました。
更に時代の変遷に対応するべく、昭和33年デザイン科、34年電子科、62年には情報技術科を新設し現在では8学科を有する全国でも有数なる工業高校として発展し君臨して参りました。
又、兵庫工業倶楽部は母校の発展と共に卒業者総数は33,794名からなる大同窓会であります。
組織的には8つの各科別同窓会、10の地方支部、多数の勤務先兵工会が存在しております。
このように113年の伝統と歴史に支えられた兵庫工業倶楽部同窓会に、三年後、今日御入学された320名の皆さん方全員の御入会を大いに御期待致しております。

新入生の皆さんは今日から高校生活が始まります。
今までとは全く異なった環境に少しの緊張と戸惑いがあろうと思いますが、それもフレッシュマンとして今のみ味わう事の出来る貴重な体験として咬みしめ、記憶の中にしっかりと留めておいて欲しく思います。その時々の思い出こそ、その人の人生そのものであり、掛け替えの無いものであります。多き思い出こそが豊な未来を切り拓いていくものと思います。
ドイツ人は「想い出の無い人間は、故郷の無い人間と同じである」と言っていたように思います。
楽しい事、辛い事、苦しい事、全て貴重なる体験として貴方々の年輪として一つ一つ刻まれて行く事でしょう。
年輪が多い程大きな大木になり、年輪が緻密であればある程強くしなやかで粘りを増してゆく事でしょう。
急がず地道に地に足をつけて、己が進む道を信じて確実に地歩を進め、ひたすらその道を突き進んで欲しく思います。棟梁の木は沃土に育たずといいます。風雪に耐えた木こそが棟木として、又、梁として相応しい木として成長していきます。
又、早稲は小粒とか云われます。早く稔るけれども小さいという古事であります。
今は芽吹きが遅くても心配するなよ。今は生長が遅くても心配するなよ。
地歩を止める事なく歩み続けるならば、いつの日か目的地に辿り着くものと思います。
「大きな器は、早くは完成しない」と老子は云っております。
早く着く者遅く着く者、人には夫々の歩み方があるもので、人と較べる事も人と競争する事もなく、
願わくば全てが自分との戦いである事を知った上で日々努力して欲しく思います。
全ての行動は天が知る、地が知る、人が知る、己れが知る。
天道の厳粛な事を能く能く心に留めて誰も知らなくても自分が知る、
自分自身を偽る事は出来ないという事であり、故に自分に正直に生き抜き自分との戦いに打ち勝ち、
どのような事があろうともネバーギブアップの精神で白旗は忘れて行こう。
一寸先は何が起こるかわからないのが人生というものだから、
最後の最後まで油断せずに自分の目的が達成される事を只々信じて行こう。
そして貴方々が信じて進んだ道が、自他共に共感し喜びを分かち合えるような結果を得る事になれば、
この上ない人生の歩み方だと思います。
そのような事を吉田松陰は「名利のために学問をしたり、暗記力や記憶力がいい為、
学問が好きだから学問をするようなことでは駄目だ。世の中を良くする、現実を変革するという志のもとに、時代を開く為に尽す志が大切だ。」と教えたといいます。
皆さん方の県工での3年間の過ごし方がこのようであればと祈念しつつ私からの御祝いの言葉と致します。
本日は誠におめでとうございます。

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